
海の中に沈んでしまうプラスチックがあるようだけど、
深い海の底に沈んでしまうのって問題じゃないの?

深い!
質問が深い!
深い海の底を意識した疑問。さすがです!

・・・まじめに答えて下さい。

これ問題ないとも言えるし、もちろんご想像どおり問題でもありますし。
ほんと深い話題なんですよ。
地球規模で考えればノープロブレム?
地球は直径1万2千㎞の大きな球体ですが、人が知ってる地球のことはせいぜい地下10㎞ほどのこと。人は38万㎞離れた月にも行ける技術がありますが、自分たちの足元がどうなっているのかは全然知られていません。やはり大ナマズがすんでるのかも。
そんな地球ですが、マグマの上に殻のように土や岩でできた地表があり、その地表はいくつかのプレートと呼ばれるものに分裂していると一般的に考えられています。そしてある部分ではプレートどおしがぶつかり片一方が下のマグマへ沈み込み、またある個所ではマグマが吹き上がりまたプレートの一部になるという「循環」が起こっていると言われます。
つまり海底深くに沈んだプラスチックもいつかはマグマに沈み込み、また地表を作る物質になるという、地球規模の循環の一部になると考えられます。地下に眠る石炭やガスなどの化石資源も、もとは地上の生物だったものが、地下の熱や圧力で変質して作られたという説もあり、プラスチックもその一部になるとも考えられます。
そう考えると地球の物質循環に加わり他の物と混ざり合っていくので、それほど問題はないと言えそうです。ただしそのスピードは何万年何億年という単位なので、問題の有無すら人は知ることができませんが。
今、で考えればやはり問題?
長い目で見れば問題はないのかも知れませんが、今!プラスチックが海の中にあることで起こっている生き物への被害を考えれば、やはり問題と言えそうです。
ビニール袋を飲み込んでお腹の中に溜め込んでしまったクジラ、釣り糸に絡まったウミガメなど、そこにプラスチックごみがあったために起こった被害が、世界各地でいろいろと確認されています。
プラスチックの存在が生き物のの命を脅かす。海の中にプラスチックは不要と言えそうですね。
その一方で沈んだプラスチックに藻が付着し、それを食べる魚が集まるといったケースも存在します。
船を作るFRP(繊維強化プラスチック)、水道管に使われる塩化ビニール、救命ロープにも使われるポリエステルなどは水に沈みますので、これらが沈んで魚の住み家「魚礁」の役割となってもいます。
良くもあり、悪くもあり。
良いか悪いかは見る立場によって違ってきそうですが、一つ間違いなく言えることは「不自然である」ということ。
自然の中で長い長い年月を経て地下にできた石油が、人の手で形を変えて作られたのがプラスチック。自然の植物から作られるバイオマスプラスチックもありますが、やはり人が自然ではない手段で作ったもの。
それを再び自然の中に戻せば、当然不自然なものとなります。
水の中に沈んだプラスチックも、生き物が暮らす「家」になることもありますが、そこに「家」ができないのが自然の状態であれば、不自然にできた家によって生態系が変わってしまうこともあります。
例えば海藻が付着したロープが海に流されて、本来生息しない場所で根付いてしまう。外来生物問題も実際に起こっています。
そのことについても、それまでその地で採れなかったものが採れるようになったと、人の暮らしに良いように解釈もできます。
何事も、良くもあり悪くもありな面を持っていますね。
ただし、もっと小さくプラスチックを見ていくと、どうやら話しがまた違ってきそうですが、今回はここまでにしましょうか。

沈んだプラスチックの不自然さを考えたのですが、良い悪いと即答できるものではなさそうですね。

人、自然と立場が変わると影響も違うんだねー。今と将来で見ても影響が変わってほんと何がいいんだろうね。
ところで最後に出た「小さく」というのはマイクロプラスチックのこと?

マイクロプラスチック。
すっかりメジャーな言葉になっちゃいましたねー。
では次はそのあたりを考えてみましょうか。
参考資料
『ナショナルジオグラフィック』2018年6月号
『地球学入門』東海大学出版会
キーワード
SDGs12作る責任使う責任、物質循環、沈むプラスチック、人工漁礁
この記事を書いたのは

ヒトデ
うずしおクリーンアップのごみ処理担当。訳あってヒトデ好き。そのためヒトデと名乗る。釣りに行ってヒトデばかり釣っていたからでは、断じてない。
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